写真は先日取材終わりに立ち寄った能代の檜山安東氏城館跡です。あまりにも心地よく、パワスポのような感じがしました。壮大な城跡の風景が映画「ラピュタ」の「昔ここに都があった」感と重なり、物悲しいような不思議な気持ちになります。また是非訪れたい場所。ちらほら桜が残っています。
「秋田の人形道祖神」book制作は今原稿が最後の追い込みの状況です。全部で8か9章になります。それぞれ扱う道祖神のエピソードが個性的で、そこに小松さんの歴史に基づく鋭い捉え方が加わるのでいつもおー!とワクワクします。しかし手前味噌になってはいけないと警戒するのですが、今のところ歴史好きのデザイナーのOさん、校正をお願いしている秋田在住の方からは「面白い」「マニアック(つまりまだ誰も扱ったことがない、と強気に解釈)」とご感想を頂いています。今回のbook制作は、マニアックな骨太の内容(歴史的教養・秋田に眠るディープな慣習や文化・実際に見て回れる実用性)をデザインやイラストを用いてどれだけ今風にアート的に表現できるか、という壮大なコンセプトを元に作っています。
県内で取材をすすめていくと、道祖神の個性が強すぎて一冊の本には収めきれないことを実感します。執筆担当の小松さんが泣く泣く端折って原稿を書く程です。最後の取材で能代(秋田の北部、青森に近い地域)の鶴形に行ったのですが、90代の男性と女性にインタビューすることができ、急遽本に入れたい、この貴重な面白さを知ってもらうべきではないか、と思うこともありました。
これまでに5回の取材に行きましたが(小松さんのお手配が毎回お見事です)、こういう経験がとても好きだということを感じました。小松さんから教えを受け、村の人々とふれあい、道祖神という昔から伝わるアート文化を感じ、それを伝える活動に携わることができるのはとても面白いです。生きていてよかったあと思うほど。まさにライフワークです。
イラストのお仕事は、現在限界を迎えお引き受けできない状況です。お声を掛けてくださった皆様、本当に申し訳ありません。7月頃にはもう少し落ち着くと思います。人形道祖神プロジェクトを始めて、表現の幅が緩んだような、今までは目がいかなかった範囲に気付くことができたような、そんな感じがします。なんとか一枚皮を脱皮しますので、またぜひお付き合いいただければと思います。