イラストレーター宮原葉月のブログです。日々の暮らしを書き綴ります。
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今夏の展示に向けて打ち合わせ・「江戸小紋と更紗展」ご紹介 in 小松クラフトスペース

先週は魅力的な講演が続きました。秋田市主催の夜学「土地の記憶を継承する」は独特な切り口で面白かったですし、秋田公立美術大学で開催された2つの講演もワクワクしました。後者は「秋田でアートマネジメントができる人材を育成しよう」という目的で始まったAKIBI plusプログラムが終わり、「AKIBI plusファイナル」という名の総まとめのクロストークが行われたり、秋田市でこれから市民による拠点(=部活)つくりが始まることに併せて、アーツ前橋の住友さんと社会活動家で秋田市議会議員の武内さんをお呼びした「アキビプラストーク」の一環・「着想の交換〜行動と批評と仲間探し」という講演が開催されました。両講演で印象的だったキーワードは次の通り。「成熟した社会(英国)」「安易に芸術祭を開催するのではなく、まずは市民が秋田の文化を知ることが大事」「借り物ではない、秋田にしかできない芸術祭の可能性(芸術祭は不要?)」「アーティスト・イン・レジデンスは地元の”当たり前”を客観的に捉え直させてくれる」「リサーチオンリーのセンターの可能性」「アートマネジメントの人材育成:専門的な美術の勉強は不要、多種多様な人材でOK 寺子屋のようなもの」「”アート”に代わる言葉探し」など。

 

話が長くなりましたが、とにかく直近で面白い講演イベントが続き、私も大いに刺激を受けました。昨年一年間で様々学んだことと、自分がやりたいことと、自分でできるものを合体させたところ、インスピレーションがふっと空から降りてきました。夏に小松クラフトスペースさんで開催されるイベントで、私も作品を数点出品させていただけることになり、せっかくならば同地だからこそできるものを!と考えたのです。県立図書館へ赴き資料を集め、昨日小松さんご夫妻と打ち合わせをしました。奥様にアイデアをお伝えしてみたら、おもしろいと言っていただけました。よかった!そして小松さんにそのテーマについて色々教えていただきました。余談ですが打ち合わせ中面白かったのは、小松さんの知識量が半端ないので(しかも私が大いに興味あるテーマで)話の脱線が脱線を呼び、「あれ?今どこに居るのかな」くらい収集がつかなかったことが多々あったこと。とにかく面白いです。小松クラフトスペースさんという空間は居心地が素晴らしい場所でした。

私が制作するテーマは、すぐにはできないもの。しかし、小松さんに教えて頂きながらライフワークとして年単位で進めていこうと思います。

そして9日(金)から「江戸小紋と更紗展」が小松クラフトスペースさんで始まります。店舗の一部がリニューアルされたので、来店されたお客様が口々に「広くなった」とおっしゃっていました。

準備中の2階の展示スペースに伺うと小松さんのお父様が「江戸小紋」についてレクチャーしてくださいました。

染の型紙。和紙で作られ、柿渋が塗られています。着物の中でも「江戸小紋」を作ることができるのは全国で数名しかおらず超エリートな分野なのだそうです。和紙を作る人、柿渋を塗る人、型紙を彫る人、染める人、分業制で行われ、携わる人には人間国宝の方々もいらっしゃいます。

この線は究極に難しいそう。1cm幅に10本ほどの線があり、1本0.5mmくらい。型紙を作るのも大変ですし、12mほどの反物に小さい型紙を80回ほどずらし染めていくのは究極に難しいのだとか。

江戸小紋の起源は、インドから持たされた「更紗」なのだそう。

400年前のインド更紗。木版プリントで作られています。17世紀以降に南蛮船などが持ち込んだことがきっかけで日本に伝わりました。日本人は木綿に驚き(当時はゴワゴワの麻が主流)、そして染めの技術にも驚いたそうです(当時は麻の織りもの)。インド更紗は大変貴重で、茶道の道具入れなど一部の上流階級の人にしか使うことができなかったとの事。火縄銃に木綿の縄が必要となり、ここから一気に国内で木綿栽培が広まったとか。

仙台の伊達政宗は、インド更紗で作った立派な羽織を重要な場面で着ていたそうです。似たような貴重な羽織を小松さんのお父様から拝見させていただきました。その当時をイメージしてみて、伊達政宗の姿を見た市民はそれは驚いただろうと容易に想像できます。見たことがない文様、質感、鮮やかな茜の赤。またヨーロッパで作られた銅板更紗を裏面に、表面には真っ赤の生地で作られた羽織もみさせてもらいました。更紗をわざと裏地に使い、チラみせさせるのは「江戸の粋です」との事。おお!

江戸小紋は、参勤交代で江戸に集まる各藩の武士たちが他と区別するため個々の柄を定めたことがきっかけです。なぜか柄が細かければ細かいほどかっこいいと考えられるようになり、今のように細かい柄になったとか。

秋田では綿花が栽培できず、北前船で運ばれる江戸で使われたボロボロの木綿更紗を購入していたそうです。ボロボロの更紗を使うために生まれたのが「刺し子」です。穴が開いたボロボロの木綿を重ね合わせ、糸で縫い付けていきました。津軽の「こぎん刺し」が有名ですが、秋田にも由利本荘市に「本庄刺し子」があるそうです。こぎん刺しは模様のように縫われていますが、本庄刺し子はひたすら直線に縫うというシンプルな形式みたいです。

運がよかったら小松さんのお父様に上記のようなレクチャーをしていただけるかもしれません。

上の写真は展示で販売される江戸小紋の着物。半円の細いキリのような道具で一点一点型紙を掘って作られたもの。こちらは「極通し(細かいほど高級)」、しかも職人の手によるもの。撮影用でモデルさんが数回(1〜2回?)着たものなので、通常ですと40-50万するものが20万くらいで販売されるそうです。ご興味ある方は是非!

18日(日)には「最後の川反芸者・若勇さんの舞を見る会」が開催され、昭和4年の花柳界雑誌「美人の秋田」を復刻された小松さんによるミニレクチャーもあります。(会費1000円、要予約)「美人の秋田」は当時の貴重な資料として私も持っています。

ちなみに「秋田県の遊郭跡を歩く」(カストリ出版)が人気でまもなく完売になるそうです。この本は調査していく小松さんの立場になったかのようにワクワクしながら読み進めることができ、しかも秋田の栄枯盛衰の歴史がすんなり頭に入ってきます。私の愛読書です。

 

店舗リニューアル記念企画「江戸小紋と更紗展」
2月9日(金)〜3月3日(土)
小松クラフトスペース
http://www.komatsucraft.com/

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