イラストレーター宮原葉月のブログです。日々の暮らしを書き綴ります。
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11月五城目の山 木の案内人と共に歩く その1

少し時間が空いてしまいましたが、先月11月に開催された秋田公立美術大学主催の「Akibi plus」プロジェクトの一つ、五城目プログラムの第4回目をリポートします。

この日は京都からいらっしゃった森の案内人・三浦豊さんが講師を務められ、一緒に五城目の森を歩きました。ちなみに三浦さんは京都ご出身で東京の大学で建築を専攻、京都に戻り庭師の仕事をされたりし、7年前から「森の案内人」のお仕事を始められたそうです。

とても面白いプログラムでした。三浦さんの説明で木や森の見方がガラリ変わりました。木が人間のような、否、人間よりも潔く「生き抜く」戦略がすばらしい生き物のように思いました。

以下、木のことを箇条書きでまとめてみました。

赤松 〜不毛な土地が好き〜

土の中の菌にやられてしまう為、肥沃な土地は苦手。そのため斜面や岩場など土が貧弱な場所を好む。松が多い土地は土がよくないことがわかる。松は土からではなく、空気中の菌から養分をもらう(例えば松茸菌)。また松ぼっくりをたくさん身につけている松は、そろそろ死期が近付いている状況。

一年中ずっと緑の葉を持てるほど生命力が強い為、その力に預かろうと昔から神聖な存在であった。

赤目柏(あかめがしわ)〜積極的に光合成する落葉樹〜

三浦さんが持つ葉の長い茎のような部分(葉柄・ようへい)が長い。これは光合成をするため二酸化炭素をたくさん吸いたいと考えた赤目柏が、風に揺られやすいように進化した結果。

落葉樹は、寒い冬を乗り越えるために葉を落とす。葉の色が変わるのは、光合成で作られた栄養が本体の木に回収される為。ちなみにこの現象は、2016年に大隅良典さんがノーベル生理学・医学賞を受賞した「オートファジー」の理論なのだそうで、アミノ酸を回収され、カロチノイドが残った葉が黄色になる。アントシアニンが残った葉は赤色になる。(父より教えてもらう)冬になる前に葉を落とさないと、雪が積もるので落葉樹にとって致命的。葉を落とすタイミングが大事なのだそう。

小楢(こなら)〜よく燃える木〜

火力が強く、昔は薪によく使われていた。

昔は落ち葉や木が「柴(=雑木)刈り」として拾われていたため、地面がすっきりしていた。昨今は柴刈りが行われないため(その結果、養分が豊富)、木々がたくさん生え始めており、「今の日本は有史以来、最もたくさんの木が生い茂っている」「縄文時代の頃に戻ってきている」とのこと。

板屋楓(いたやかえで)〜甘い樹液を持つカエデ〜

楓の中で一番大きい。日本だけに分布。樹液が甘くておいしい。ちなみに北アメリカ原産のサトウカエデからメープルシロップが採れる。

山紅葉(やまもみじ)〜木漏れ日が大好き〜

もみじにはヤマモミジ・イロハモミジ・オオモミジと日本には3種類あるそう。もみじは楓カテゴリーの中の1つ。木漏れ日が大好き。木漏れ日を拾えるよう、他の大木の下で横に広がっていく。

姫青木(ひめあおき)〜ミニマリスト〜

手前の細い木群。秋田では雪に埋もれるために小さい。葉はずっと緑。雪の中だと零度以下にならないので逆に温かい。日陰で生きていける。どなたかの言葉で「ミニマリスト」な存在。

漉油(こしあぶら)〜森の中でも目立つ〜

新芽を揚げたものが美味しいイメージ。半透明の薄い緑の葉は森の中でも目立つ。

葉柄が長い。これで1つの葉。

杉〜雪国では思い切った戦略を取る存在〜

一番衝撃だったのが杉の話だった。上の写真は、わかりにくいが杉の柔らかい葉だけがふわふさ茂っている。屋久杉など一本の立派な杉と実は同じ種類。雪国の杉は「伏条更新(ふくじょうこうしん)」という独特の増え方をする。雪の重みで垂れ下がった枝が地面に触れると、そこから根が生える。「ここに生えたはいいが、他の木に成長が妨げられるな」と判断した杉は伏条更新し根元に若い枝を伸ばし(下の写真)、場所をずらし生き残るための戦略を取る。命を若木へ移していくかのように感じた。

三浦さんはワイルド杉をみつける度に「あ」と声を上げていた。ワイルド杉は育つ過程がイメージでき面白い。伏条更新をしていれば引っ越しを考えていることがわかったり、小さな杉の上に他の木のがっちりした枝が茂っていたらこの子は数年後には伏条更新せざるを得ないだろうと予想ができたりするからだ。また三浦さんによると、若い杉の葉は尖っているそう。鹿に食べられにくくしたり、雪に引っ掛かり伏条更新しやすくする狙いがあるとのこと。一方、木の上の方の葉は雪に積もられにくいよう丸い形状だそうだ。

また「天然杉は他の木に比べて強いのか?」という質問に対する三浦さんの回答が面白かったので紹介する。

はるか昔、14000年前の氷河期には松や杉などの針葉樹が存在しており、花粉を風で飛ばして子孫を増やしていた。その内動物が生まれ、針葉樹は動物たちにただ葉を食べられるだけ・・・だったら彼らに花に来てもらい、風任せではなく確実に受粉できるようにしようと進化する。花には相当のエネルギーが必要。そこで、それを可能にする光合成ができる広葉樹が生まれた。そうした背景から、杉などの針葉樹は広葉樹と比べて生き残りにかけては弱く、斜面など不利な土地に自生しているとのこと。

水楢(みずなら)〜寒冷な気候を好み、ギザギザの葉が特徴〜

水楢は大楢とも呼ばれ、先の小楢と同じく火力が強い。水楢は北に、小楢は南に分布する。上の写真で三浦さんが手にしているのは、左側の葉柄がほとんどない葉は水楢、右の葉柄があるものは小楢。家具材の「オーク材」と呼ばれることも。

ヤブコウジ 〜一番小さい木〜

とても小さいため「木と草の違いは何か?」という質問が出るほど。

笹 〜分類しにくい存在〜

ヤブコウジと同じく「笹は木か草か?」という質問も出た。分類はいまだに定まっておらず「笹は笹」説があるらしい。笹は雪に埋もれるよう低く、地面の中で根っこがつながっている。茎のような稈(かん)の周りを包む「鞘」があるのが笹。

クロモジ 〜楊枝の原材料〜

枝のバーコードのような模様が名前の由来。和菓子に使われる大きめの楊枝の木。マタギの人がよく噛んでいるそう。甘い香りがするそうだ。

 

おまけ
その他に印象的であったことは下記にまとめました。

・紅葉や落葉が遅い早いなど個性があるが、絶滅しないための森の知恵。

・白樺・・・山火事の後は白樺が多く生える。そのため明るい土地にあり、原生林ではみられない。

・枝の曲がり具合・・・曲がりが複雑なほど悩み試しながら成長した証。若い木ほどまっすぐ。

・落葉樹・・・生きるために葉を落とし、枝を枯らす。光合成は朝日が一番好き。遅くとも14時ころまで。

・日本の土は、プラタナス、メタセコイアなどの外来種の木が増えることはさせない。土の中の菌が攻撃をするため。

・1cmの土ができるのに100年かかる。

森の木々の生き様は奥深く、「生きている」ことを強く意識させられる。

つづく

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