イラストレーター宮原葉月のブログです。日々の暮らしを書き綴ります。
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初めて五城目へ 五城目編その2

先日ブログをUPしてからお仕事に励んでいた為更新が少し遅くなりました。クリスマスや和柄モダンや激しいダンスや官能など様々なジャンルの絵を担当させていただき、ますます好奇心が旺盛になってきています。世の中には知らないことがたくさんあるのですね。

さて、先日五城目に行ったときの続きです。

雨が時折降る中、大人数で畠山鶴松さん(1895〜1986年)のご自宅にご挨拶に伺いました。鶴松さんのご家族が温かく迎えてくださいました。仏壇にお参りさせていただいた後、近くの公民館へ移動。ここで鶴松さんについてのトークイベントが開催されます。

郷土史研究家の小松さんが司会を務められ、鶴松さんの息子さん(90代)とお孫さんから当時の貴重なお話を伺いました。

鶴松さんはご自身が生きていた暮らしを後世に伝えようと、60歳代になって「落書」をノートに書き始めました。その記録は秋田で唯一の出版社・無明舎出版から「村の落書き―鶴松爺の絵つづり雑記帳-1984年-」という本になっています。残念ながらこの本は絶版。今の印刷技術で素敵な絵たちを高品質に出力した新しい本が出版されないかしら、と思いました。写真は鶴松さんが描いた掛け軸にあったサイン。

トークイベントで驚いたことは、鶴松さんのご家族が話す言葉が理解できなかったことでした。「秋田の言葉はわからないよ」とは聞いていたものの、ここまでとは・・・。フランス語のような柔らかい言葉で、ほぼ理解できませんでした。ありがたいことに、五城目在住の溌剌とした素敵な女性Mさんに小声でわかりやすく同時通訳していただけました。

もっといろいろお話をお聞きしたかったのですがどうしようもなく断念。ちなみに数年住んでいると県外出身者でも7割は理解できるようになるそうです。

またMさんに通訳していただいたお話から印象的だったこと:五城目には「番楽(ばんがく)」という伝統的な民族芸能があります。司会の小松さんによると山口県の神楽(かぐら)のようなものだそう。神楽は広島に住んでいた頃よく耳にしていました。鶴松さんは息子達にこの踊りを伝え教え続けました。当時「踊りを教える暇があるなら仕事(農業)をするべきだ」と周囲の冷ややかな反応があったそうですが、それでも鶴松さんは教え続けたそうです。鶴松さんの尽力のおかげで、現在でも五城目で番楽は踊り続けられています。当時は長男にしか伝授されませんでしたが、今は小学校で男女ともに教えられるそうです。また、鶴松さんの息子さんはタイ王室やアメリカ・マンハッタンにあるカーネギーホールに招聘され、番楽を披露されたことがあるそうです。聴講していた美大生たちは「秋田の番楽はかっこいい!」と感銘を受けていました。

トークイベントが終わると、班ごとに分かれ、五城目内の複数の食堂に分散しお昼ご飯を食べました。ちなみに「ご飯」と言えば、この日知り合ったMさんから興味深い話を聞きました。Mさんは料理関係の仕事をされていて、秋田伝統の食べ物を調べ、子どもたちに伝えていく食育活動に力を入れています。先の鶴松さんの「村の落書き」にも山菜や料理の資料があり、熱心に聞いておられました。

そのMさんから、公民館から田んぼの中を歩き食堂に向かう道中で
・納豆汁が美味しい(納豆をすりつぶしたものを鍋に入れる。確か県南はサラサラ、県北はドロドロ。)
・貝焼き(かやき)というものがある(一人鍋のようなもの。様々な種類がある)
・京都に住んでいた頃初めてお肉を食べたとき臭み(良い悪い共の意味で)を感じた。秋田の肉はくさみがないので、水が良いのだろうと思った
など、貴重な話を聞くことができました。この冬に納豆汁と貝焼きは絶対食べてみます。

「三吉食堂」で鍋焼を注文。美味しい。秋田はどこで何を食べてもほぼ美味しいです。緑の野菜はセリ。秋田ではスーパーに行けばセリを必ず買います。根っこまで食べます。

お腹を満たしたあと、後半の部へ。五城目駅のターミナル近くにあるギャラリー「ものかたり」で、秋美の先生から「落書き」にちなんだ講演を聞きました。(このときのレポートを書きましたので、ネットにアップされたらお知らせします)講演を通じて、秋田で暮らす「今」を絵で表現する構想が一気に明確になってきました。

15時にこの日のプログラムが終了。バスで帰ろうと思っていたところ、なんと小松さんが遊郭跡を案内しながら車で送っていってくださることになりました。なんと贅沢なことでしょう!ちなみに秋田の方はどんなに華奢でかわいらしい方でもみなさん1人1台で運転しています。車を運転できないことが恥ずかしくなってきます。。。。。

小松さんの解説付きで(豪華!)、まずは近くの割烹・松鯉(しょうり)へ。中には入りませんでしたが、非常に見応えある建築様式と聞いたので今度ランチを予約して観に行ってみます。以前作家の麻宮ゆり子さんと光文社の編集の方々と行った、大阪・飛田新地の「鯛よし百番」のような雰囲気なのでしょうか。楽しみ。

車の中で小松さんから「ここは昔五城目線が走っていたんだよ(昭和44年まで。3.8kmと短い)」など貴重なお話をお聞きします。奥羽本線の駅を当時栄えていた五城目に作ろうとしましたが、鉄道反対運動が起き、八郎潟に作られることになりました。しかし不便を理由に結局八郎潟と五城目をつなぐ鉄道が作られ、それが五城目線だそうです。運営者は今の秋田中央交通(バスで有名)。

下記の小松さん著の本で紹介されていた、一日市にあるかつての娼家「ときわや」を観に行くと、なんと建物は取り壊され、更地になっていました。小松さんはショックを受けられていました。

次に「タイル」が特徴的な潟上(かたがみ)市大久保にある娼家後に行きました。外から建物を撮影。青い壁が目立ちます。

アップ。

もっとアップ。

小松さん曰く「現存する赤線のタイル装飾として北限かもしれない」。この建物がまだ残っていてよかったです。本にあったタイルをこの目でみることができ感無量でした。ちなみにこの辺り大久保にはディープな飲み屋さんが様々あり、小松さん一押しの飲み屋さんにはびっくりしました。夏は涼しそうです.....

昔この辺りは国内屈指の油田採掘量を誇り、訪れる客層に油田関係者が多かったとのこと。

そして土崎、山王付近の色街の建物(跡)を巡りました。旧妓楼「大正亭」という大きな木造の建物はまだ残っていました。遊郭の入口にあった銭湯「塩乃湯」のレトロな建物も。先の「ときわや」のようにつぶされずに街の資源として残してほしいと強く思いました。

小松さんの貴重な解説を頂きながらの色街建物を巡るツアーはとても楽しかったです。お話がディープすぎて目からウロコがたくさん落ちました。秋田のイタコさんのような存在のこと、道祖神のこと、もっと知りたくなりました。秋田はおもしろいです。

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