イラストレーター宮原葉月のブログです。日々の暮らしを書き綴ります。
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<お仕事>井上荒野さん「もう二度と食べたくないあまいもの」(祥伝社)

 






帯をめくると、男と女の形であったものが、サラサラ崩れていく様子が、この小説を暗示しているかのように思えます。大人の男女の話を綴った短編集です。

この一冊の装丁のお仕事は、盒桐杙劼気鵝峅金の庭」(集英社)の装丁イラストをみてくださった、祥伝社の編集のMさんからお声をかけていただいたのがきっかけです。単行本から文庫化するにあたり、よりたくさんの方々に手にとっていただけるように、「男と女」感をしっかり伝えていきたい、という目標がありました。

井上荒野さんといえば、2008年に「切羽へ」で第139回直木賞を受賞されています。わたくしの勝手なイメージですが、唯川恵さんや山本文緒さんがお好きな方には、ピタリとはまり、嫉妬や羨望など、心の奥にしまっているはずの感情を、容赦なく揺さぶってくるのが、井上さんの世界感だと思います。私はまさにこの世界観がど・ストライクでして、この本も、貪り食うように一気読みしました。また、短編のひとつである「手紙」に出てくる料理のシーン、あたかも目の前に料理があるかのような描写に脱帽しました。


編集のMさんと、デザインを担当された坂川事務所の坂川栄治さん、坂川朱音さんと打ち合わせをさせていただきました。男女をどうみせるか、というのが焦点となり、私が「クリムトの「接吻」をより抽象的にしたようなイメージでしょうか?」という提案がそのまま採用され、その路線で進むこととなりました。

といっても、そのままスムーズにラフが決まった訳ではなく、当初、もっと若々しい雰囲気のラフだったものを、男性の髪形を変えたり、色調の強さを残しながらも、より落ち着く方向へ修正していきました。また、接吻の構図も、より曖昧なものへ。
思ったよりラフの変化に幅が出るお仕事となりました。(変化させていくほど良くなっていくので、大事な過程だと考えています。)


この井上さんの本「もう二度と食べたくないあまいもの」が、たくさんの方々に読んでいただけますように。
イラストレーターとして微力なのですが、この本のカバーをみかけた方の想像力を、僅かでも掻き立てるような存在になってくれたら、と切に願います。
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